日和田山ロープワーク講習

2021年11月21日(日)

参加者 13名

池袋7:30→練馬インター経由→狭山日高インター経由→高麗駅→巾着田駐車場9:20→日和田山女岩10:00→講習→日和田山子供岩15:50→巾着田駐車場16:30→狭山日高インター経由→所沢インター経由→武蔵浦和19:30

講習内容

女岩前で1時間岩登りに関する道具の説明をする。

  • ハーネスを着ける前にヘルメットを先に被り頭を保護する。その後にハーネスを着ける。
  • ロープの種類の説明
  • メインロープは径8mm 径9mm(9㎜~10mmの幅がある)が主流で、9mm以下は岩場ではダブルで使用する。シングルの場合は径10mm前後を使用。
  • ソウンスリング(テープスリング)はナイロン素材とダイニーマ素材が使用されダイニーマは熱に弱い性質があるがナイロン素材の5倍以上強度があるので軽量化がはかれるが価格が高い。ナイロンは柔らかく価格が安いので摩擦熱等の影響がない場合には使用しやすい。使い分けて使用する。ダイニーマの幅の細いのは軽いが身体に食い込むので使用する際には注意をする。
  • ロープスリングは径が6mm・7mm・8mmとある。プルージックなどのオートブレーキに使用する際に、メインロープに対比して使用する。メインロープ8㎜のダブるで懸垂をするなら6mmが使いやすい。メインロープ8㎜をシングルの簡易的に使う場合は6mmでは摩擦が取りにくいので巻き数を増やしてフリクションを取る。
  • ロープスリングは長い物・短い物をダブルフィシャマンで作成するが、長いものは1.5mをダブルフィッシャンマンで結び作成する。

③ ハーネスに装着するメインロープのリード・ビレーヤーの付け方とミッテル(中間者)の付け方の説明

  • リード・ビレーヤ―の付け方はフォロースルーと言われダブルフィギア―エイトノットでタンイイループの上下を通して結ぶ。

ミッテル(中間者) はオンアバイト言われ、ダブルフィギアエイトノットで結び安全環付きカラビナでハーネスに装着する。

  • ハーネスの部位の説明で上下のループをタンイイループと呼び、そのタンイイループの上下を通してあるループをビレーループと呼ぶ。
  • カラビナの種類
  • 使用頻度の高いカラビナは安全環付のHMSカラビナの大きい物3枚以上用意するのが良い。ハイキングなどの鎖場の通過にも対応できる。ハーネス装着や懸垂下降にも有効。

安環付O型カラビナも使用頻度がある。HMSカラビナと混ぜて多めに持っていると使用頻度が高い。ハイキングの簡易ハーネスにも使えるので混ぜて5枚は持つのが望ましい。

  • クィックドロー(ヌンチャク)はリードしたり、ビレー点構築に使用する場合が多いので3枚は登攀や沢登りに慣れてきたらリード希望者は準備する。
  • 懸垂下降やビレーヤ―が使用するエイト環又はATC
  • エイト環は手の平位の大きさが使いやすい。
  • 懸垂下降にはエイト環又はATCのどちらでも良いが下降途中の作業姿勢にはATCのが止めやすいので、両方持つかATCを持つ。
  • フリクションノット(オートブレーキ)
  • ①プルージック ②マッシャーノット ③クレイムハイストが主流であり長所・短所がある

★プルージックはブレーキが利き、上下に動作が効くが一度強いブレーキがかかると解除にてこずることがある。左右のトラバースには有効。結びめはきちっと揃えないと効果が無いので手袋など使用する雪山には向かない

★マッシャーノットはメインロープにグルグル巻きつけてそろえる必要はなく上下の輪にカラビナを掛けるだけなので簡単ではあるが巻き数が少ないとブレーキ効果が弱くなるので使用は少ない。

★クレイムハイストはマッシャーと同様にメインロープに巻き付け、上のリングに下のリングを下から上に通し下に引っ張りカラビナでハーネスに装着する。手袋を着けていても結べる。ブレーキも掛かりやすく、強いオートブレーキがかかっても解除がしやすいので極めて有効。短所は下のみにブレーキがかかるので使用には注意が必要。

トラバースでも戻ることが無ければ雪山でも有効。岩場で上に登り返すことは稀なので懸垂下降のバックアップには積極的に使用した方が安全率が高い。

  • カラビナのマイナーアクシスとレギュラーアクシスの理論
  • カラビナやスリングにはヨーロッパ規格(日本のJIS規格)ある。

正規の使用(安全環をしっかり掛ける)レギュラーアクシス の場合UE22KNと表示がある。安全環を廻さないでゲートがフリーになっていたり、カラビナを横使用になった場合のマイナーアクシスの場合UE8KNと表示されてます。

これは耐荷重を意味しており物理的計算によるとリードや鎖場を通過して転落した場合に重量(体重+ザックの重さ)× 9.8m⁄s²(重力加速度)×落下距離÷100 (単位KN)の荷重が掛かる。例として体重50㌔で荷物が10kだと60㌔でリードしていて登りスリップするとビレー点から3m下に落ちるので6mになる。

計算式にあてはめると 35kNとなる。人間は14kNの荷重が掛かると即死します。

仮に登り初め1mから転落すると支点から2m落下なので11.7kNの荷重がかります。10kNだと重篤な怪我の発生する場合があります。人間の体は8kN以下なら身体に損傷はありません。例えば、横鎖場でビナ通しのスリングの長さを50cmで転落した場合、落下距離が0.5mなので2.94kNなのでぶら下がる程度で身体に損傷がないことが判ります。登攀するリードが転落した時にビレーヤ―がいかに落下距離を短くするかはこの物理計算によるものです。一瞬で止めるのビレーヤ―が信頼のおける友になります。常にロープの張りに指先を研ぎ澄まし微妙な動きを察知しなければなりません。ATCやムンターヒッチは一瞬で留める有効なビレーヤー器具になります。

  • 懸垂下降中での途中作業姿勢の方法

救助作業の為懸垂下降をしたり、懸垂下降中に何らかの途中停止して作業姿勢体制に入り両手が自由にしなければならないときの対応

  • エイト環とATCでは全く違います

★エイト環は右手の腰の部分にメインロープを折り返しエイト環の部分メインロープを殺しに掛かります。この際にテンションが掛かっているので右手の折り返したロープでエイト環に掛かっている上からのロープを殺すのに強い力が必要になります。机上でやるのとは全く違います。練習をしなければなりません。命が掛かるのでマスターしなければなりません。

後はハーネスにかけてあるカラビナに右手の殺したロープを下から通して更に折り返し輪を作りエイト環の上にロープを通しロック状態にします。念のために予備カラビナを掛けハーネスにセットしてバックアップを作り完成です。解除はその逆ですが大事なのはバックアップのカラビナを外した後は左手は常にエイト環を押さえて右手のみでロープをゆっくり解除していく事です。左手をフリーにすると全てフリーになり、懸垂中の重力に引っ張られ一気に落下し止められず死亡に至ります。

これだけは懸垂下降の右手を離さない事と同じです。バックアップを両手がフリーになったときにセットしておくのも大事です。常にバックアップを頭に入れて。

★ATCは予め安全環付きカラビナをレッグループ又はタンイイループにセットしておいた方が安全。ATCをセットする際にテープスリングの30cm位を繋ぎATCをハーネスから離しておくのも効率が良い。

懸垂下降中に停止する為に右手のメインロープを予めセットしてある安全環カラビナに右手のメインロープを通し折り返し、ATC器具の上にミュールノットでメインロープを固定する。

そのあとバックアップをクレイムハイストをセットするか懸垂前にバックアップ取るかになる。但し懸垂前にバックアップ取って下降すると途中停止のミュールノットのロープ作業がしずらくなるので要注意。

バックアップは作業姿勢に入って両手が使えるときにセットしても十分。作業後に解除するときはバックアップは最後に解除になるのでゆっくり慎重に行う。バックアップはエイト環に比べて強い力は必要な無いので不要と考えている。

以上の事を今回の講習会で実施した。繰り返し話をしてますがロープを使う登山の場合は重大な事故につながる場所だからロープを使用するので、手抜き、知ったかぶり、SNSの受け売りの知識、ユーチューブなどの受け売りの知識等で本番に使わないようにしなければなりません。

しっかりとした指導者の下でスキルと知識を学んでロープを使う登山を楽しむように心がけてください。場数を踏むことでスキルと知識は積み重ねて行けます。

指導者も会員の安全・安心を守るために、機会ある度にテントや山小屋でも指導していきます。

記録  Y・F

参加者所感:

日和田山は古くから近郊のゲレンデとしてクライマーに利用されているというだけあり、到着した時には既に数名のクライマーが練習をしていた。
男岩、女岩を眼前に、『ここで実践…?』と緊張が走る。

私達は女岩にロープを張り、ビレーする人に命を託して、手を掛けられる場所、踏ん張れる場所を探しながら登っていく。

どんどん岩場の終了ビレー支点に近づくワクワク感、ロープで自分が守られている安心感で、楽しく登り降りすることができた。次に子供岩で懸垂下降の練習をした。

講義実施前にF氏から「まずヘルメットを被ってから準備して」の声により、身支度を整える。

まずレジュメに沿ってロープの種類と用途、基本的な結び方、カラビナの種類と用途と役割について説明を受ける。
(私は結び方の名前と結び方がイコールになったのは、エイトノットくらいだった…)

次にお手本を見せていただき、どのような場面でどんなふうにロープを扱うか、実践を兼ねて説明を受ける。いよいよ懸垂下降実践。

まず①安全を確保して②エイト環にメインロープを通してカラビナにセット③クレイムハイスト結びをしたバックアップスリングをメインロープに巻き付け結び、エイト環の下に右手を置き、握ったロープを調整しながら下降する。

この時右手を緩めてしまうと落下してしまうので、慎重にバランスを取りながら行う。下降一回目の準備段階で「先生、先生」と言っていた私も、三回目には助けを求めずに準備し下降することができた。

下山時には雨もポツポツと降ってきたが、なんとも清々しい気持ちだった。
私は入会して初の参加がこのロープワーク。
前夜のミーティングでは「何が分からないかが分からないです」と言ったほど。

しかしF氏に「大丈夫」と言われ皆さんにアドバイスをいただき、無事に一日を終えることができた。この会の皆さんは、真剣な中にも笑顔が多い。

F氏はひとつの気の緩みが命を落とすことになることも伝えつつ、俺が居るから大丈夫と常に言ってくださる。なんだかひとつの家族のようだなぁと思いつつ帰路に着いた。

T・E



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